第8章 ふたりの嘘
一週間後、香織から連絡が入った。
そろそろ冬物の軽い小物などをと物色しに街へ出掛けていた所だった。
お願い、というスタンプ。
『今外に出てる? 街中ならちょっと会えない?』
『いいけど? 急に、珍しい』
LINEの返事を打ってからショッピングモールの外に出た。
歩き回るのに疲れて来た所だった。
ゆっくりお茶を飲むのに丁度いい。
土曜の目抜き通りは人ごみで溢れていた。
そこから外れると落ち着いた外装の個人店が目立つ。
その隙間から吹いてくる風に今日買ったストールの前を合わせ直して待ち合わせ場所に向かった。
「……あれ?」
思わず歩を落とした。
どこかでみた様な後ろ姿。
背丈といい、ジャケットで分かり難いけど体型と言いあれは。
『遥さん…? なんでここに』
隣に、女性がいた。
どういう関係かは分からないけど、二人の距離が近い。
だけど私には、もう関係ない。
関係無いけれど。