第1章 戸惑い

皮膚を押している親指は緩やかに、でも確実に指先に力が籠っていく。

「んっ！ ぐ」

「いいな？」

その低い声に言い様のない恐怖に震えながら、私はこくこくと頷く。
無表情だった男は流麗な顔を柔らかなものに変えると私の首から手を離した。
ひゅっ、と掠れた声が私の喉から押し出された。

「悪い様にはしない。俺の言う通りにしろ」

男は暫くそのままの体勢で私を見詰めていた。
恐怖で自身を守る防御本能なのか、私は過ぎた仕打ちに無意識のうちに更なる蜜を溢れさせてた。

その間ゆるりゆるりと膣壁を撫でる、まるで私を探り確かめるかの様な動き。

「ああ、あぁ……」

穿たれたままで応える余裕も無く、息も絶え絶えに喘ぎ続ける。
それ位にその男のものは圧倒的な質量で私の内部を支配していた。
そして最初の強烈な痛みが薄れてくる。

「どうだ？ どこがいい」

初めて会った時と同じ様に男が微笑んだ。
そんな記憶を辿りながら流れる涙で私の視界がぼやける。