第26章 ※すれ違い
杏「それはそうと、桜は何故襦袢で寝ないんだ。苦しいだろう。」
不思議そうな声色に、桜は表情を明るくさせて杏寿郎を見つめた。
「普段は和服を着ないのでどう寝るのか知らなくて…。襦袢で寝て良いのですね!助かりました!」
そう礼を言うと風呂に居た時とは別人のように ふわっと愛らしく笑う。
杏寿郎は異なる魅力を楽しみながら桜を見つめると、タオルを片し 再び腕を組んで布団に座った。
杏「それは良かった!隣室に掛けてくるといい!」
「はい!」
桜はそう返事をして柔らかく微笑むと、立ち上がって新しい自室へ続く襖をスッと開く。
そして中へ入って一旦襖を閉めようとした時、
杏「開けておいて良いぞ!!!」
と杏寿郎が明るい声を上げた。
その声に驚いて桜がパッと顔を上げると、杏寿郎は眉をきりっとさせて にこにこと微笑んでいた。
その楽しそうな顔に圧され、桜は思わず頷く。
「は…、はい……。」
(杏寿郎さんって色々と見るのが好きなのかな…。表情や体…脱ぐところも…?でも振り袖脱ぐだけなのにな…。)
桜はそう不思議そうに首を傾げながら衣紋掛けの前まで歩くと、帯を半回転させ結び目に手を掛ける。
だが、解く前にピタッと手が止まってしまった。