第25章 嫉妬の対策と変わる関係
それから杏寿郎は桜の髪を洗うと言って聞かず、結局お互いの髪を洗ってから風呂場をあとにした。
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千「桜さん!兄上がお風呂を出られたようなのでお次にお入りください!」
杏寿郎の部屋で一枚のタオルを使ってお互いの髪を乾かしていると、千寿郎が桜の分のタオルを持って来て襖の向こうから声を掛ける。
桜がどう返事をすべきか悩んでいると杏寿郎が迷わず襖へ歩み寄り、スッと開けた。
杏「千寿郎、いつもありがとう。桜はもう入浴を済ませたので次は千寿郎が入ってくれ。」
そう伝え、首を傾げる千寿郎の頭を優しく撫でると杏寿郎はタオルを受け取る。
そこで千寿郎はハッとすると顔を赤くして俯き、ぺこっとお辞儀をしてから足早に去っていった。
「そのタオルは杏寿郎さんが使ってください。杏寿郎さんが先に私の髪を拭いてくれたのでもうほとんど乾いてしまいました。」
そう桜が柔らかく微笑むと杏寿郎も微笑み返しながら桜の側に腰を下ろし、二人の頭の上にタオルを被せる。
桜が驚いていると杏寿郎は腕を伸ばして本当はまだ濡れていた桜の髪を拭き始めた。
その優しさに眉尻を下げて微笑むと、桜も腕を伸ばして杏寿郎の髪を拭いた。
杏「支配というと主従関係のように聞こえるかもしれないが、俺は君の事が大事で仕方ない。こういった遠慮はしないでくれ。君が心底嫌だと思う事もしないと約束する。」
桜はその柔らかい声に微笑みながらもしっかりと頷いた。