第55章 遊郭に巣食う鬼
天(反射速度が比じゃねぇ。)
ユ『桜はここへ向かおうとしているのか…?ここは駄目だ…この男は危険過ぎる……。桜……。』
そんなユキの心配など露知らず、桜は一般人を出来る限り治療し 避難誘導をしていた天元の嫁、まきをと須磨の治療も終えると ユキと天元がいる方へ向かっていた。
(あ!あの後ろ姿は……!)
「善逸くん!伊之助くん!!無事だったのね…よかった……っ!!」
伊「……あ?お前帰ったんじゃねぇのか?」
「帰ったんだけどね、飛ばされてきちゃった!それはどうでも良くて みんな怪我してない?……善逸くん?なんだか落ち着いてるね。」
伊「たまに喋るけどこいつ寝てるぜ。」
「えっ!?…………わ…ほんとだ…。」
桜は善逸の鼻提灯をつんつんと突いた後、二人の体をじっと見つめた。
「うん!二人とも怪我がないね。優秀優秀!」
そう言いながら桜は何故か土まみれな伊之助の体をパッパッと払ってやる。
ふわふわした毛に撫でられると伊之助はぶるぶるっとくすぐったそうに体を震わせたが、褒められたせいか嬉しそうな空気を纏っていた。
伊「おっしゃー!!行くぞォォ!!」
「しーっ!慎重に状況をよく見よう!その方が一枚上手!って感じでかっこいいよ!!」
伊「任せろ!!」
伊之助はそう良い返事をしたが、気が昂っているからか大きな声を出しながら道を走っていく。