第53章 ※不自由な夜

杏「桜……、このままでは君の腹が膨れてしまう…。恐らく切りがないぞ。」


「…まだ二回しかしてないよ。」




桜は他の方法に自信がなかった為 少し渋ったが、杏寿郎に心底心配そうな顔で見つめられると大人しく手を離し 杏寿郎に覆い被さるようにしながら杏寿郎の顔を覗き込んだ。


そして暫く杏寿郎を見つめてから首を傾げ、次にハッとした表情になる。




(いつもお口でした後 杏寿郎くんが褒めるみたいに頭を撫でて口付けてくれるから待ってしまっていた…。)


「杏寿郎くん、お口でした後だけど口付けても構わない……？私は好きで飲んでるけど…、」

杏「一向に構わない！！」




同じく口付けを待っていた杏寿郎が元気良く許可を出すと桜は少し微笑んでから優しく口付け、頑なに受け身になって舌を絡めてこない杏寿郎に焦れて自ら杏寿郎の舌を積極的に撫でた。

そして久しぶりの深い口付けに夢中になっていく。







杏「は、……っ、とあ、えっ」

「…………え…？」




桜が蕩けた顔を離すと珍しく頬を上気させた杏寿郎が口付けを防ぐ様に手の甲を口に当てながら少し後ろへ退がる。