第5章 呼んで、動いて、見せてよ
誰に告げられぬ思いと共に、ごわごわと落とした私は、旧知だからこそ伝える音に自分自身抑えきれぬ感情が存在していることに気付く。
押し潰されてしまいそうだった。
でも・・・押し潰されるわけにはいかない。
「・・・・・・セイラ・・・」
「・・・・・・」
「・・・あなた、強いね」
「・・・・・・強くなんか・・・」
「強いよ」
私ならどうかな。我慢できないんじゃない?
彼女が誰を想像しているかなど、容易く考えられるだろう。
そして・・・・・・。
「その思いは・・・・・・リヴァイに伝わっているはずだから」
ああそうだ。
そうじゃないと困るから。
眠ってしまって私を忘れるなんてことになったら、私はどうしたらいいのかわかんなくなるだろう。
リヴァイさんの中で私という存在が消えてしまったら・・・・・・。
「・・・リヴァイさんが、好みなものだ」
カットされたケーキを指先で挟み、お酒の香りのするケーキを口へ入れる。
「・・・・・・」
「リヴァイさんも、食べるでしょうか」
「・・・残しとけばいいよ。ちょっとくらい固くなったって、食べるんじゃない?」
それもそうだ。
ああ。あの口で食べるところが・・・
「セイラ・・・・・・」
つっとハンジさんのがさつだがそれでも女性らしい丸みを帯びた指先が手の甲へ触れた。
私はそれを見つめ、そしてゆっくりと視線を動かす。
「体を休めて。私少しの間ここに居るから。リヴァイが目が覚めたら起こすから・・・だから」
「・・・・・・」
「ね?」
「・・・はい」