第4章 壊したい時間、過ごしたい時間 ※
「・・・・・・10時間・・・」
そのまま眠ってしまった私は、目覚めてまずしたことはポケットに入れたままになっている時計で時を知ることだ。
かちりと開いた美しい細工の施された時計は、残酷な時の進みを表してくれている。
私が目覚めたのが眠りに落ちてから6時間後。
そしてまだリヴァイさんは目覚めない。
今日は何時間共に過ごしてくれるだろうか。
どうせなら、色づいた森を歩きたい。
目覚めた時に、前に彼が好きだと言った木の実の入ったパウンドケーキでも焼いておこうか。
紅茶の在庫はあっただろうか。
・・・・・・そろそろ買い物に行かないと
こうして外へ出て行くたびに、自分が出かけている最中に目覚めて欲しくはないと言う思いが芽生えてしまう。
起きていて欲しいのに起きて欲しくないとは、わがままなものだろう。
光溢れる室内をゆっくりと見回した私は、リヴァイさんが座っていた椅子を暖炉の前まで引きずり、サイドテーブルに読みかけの本にしおりを挟んだものを置いた。