第3章 憎くて、愛おしい
すでに穏やかな寝息を立てている。
どこにも悩む様子は無く、幸せそうな寝顔だ。
時折寒さに震えて見せるが、それもすぐになくなるだろう。
リヴァイさんの眠りは深い。
容易く目覚めぬことなど、嫌ほど知っていた。
「リヴァイさん・・・・・・寝ないでよ」
そっと頬を撫でる。
薄暗い部屋に差し込む窓からの光は銀色の月から与えられるものだった。
凛とした光を浴びるリヴァイさんの顔は青白く、たたき起こしたくなる衝動を抑える。
本当は、どうにか起きていて欲しい。
眠ってしまったら、次に目覚めるのはいつかと怯える自分がいやだった。
こうして過ごしたいずつ・・・少しずつ眠りに浸されていく彼を見守る私は・・・・・・。
「・・・・・・もう少しでいい・・・もう少しでいいから、私の傍に居て・・・」
こんな弱音も吐けるはずもなく、私は胸の内に様々な思いを溜め込んでいる。
時間が足りない。
まだ・・・あなたと私の・・・・・・時間が。
つっと頬から目尻へ、瞼の上をなぞり眉毛に触れた。
鼻筋を通り唇へ触れる。
穏やかな呼気が吐き出されているのが分かる。
そのまま胸に体を預けると、まだ眠りの浅いらしいリヴァイさんの腕が私の体へ回された。
息を飲んだ。
こうして与えられる熱に、いちいち鼻の奥が熱くなる。
ああ・・・・・・リヴァイさん。私は・・・。
少しだけ伸び上り、私はリヴァイさんの唇へキスをした。
意識のない彼へ、神聖なものへ触れるような一瞬のキスをー。