第2章 捜査開始
原因は分からないけど、とりあえず現状を確認しないとね。
ハンジさんはそう告げ、私に銀の鎖時計を託した。
「これでリヴァイの睡眠時間、記録して」
「・・・動いているんですか」
「失礼だな。大切な物の一つだよ!ちゃんと動いている・・・動いているし、リヴァイの時を刻んでくれるから」
「・・・」
「私もちょっと気になるから、過去に症例がなかったか調べて見るよ。ただ眠たいだけで、春先だからと言って寝てるだけならいいんだけど」
そうでないことは、互いに分かっている。
だがあえてそう軽く告げ合うことで、自分の中の不安を払試しようとする。
人間の面白い性だろう。
じゃぁね。
そう告げて部屋から出て行ったハンジさんの声が耳に残っている。
唐突に訪れた狭い空間に密封されたかのような沈黙は私に重すぎた。
そんな私の気も知らないまま眠り続けるリヴァイさんの胸に触れさせ、そのシャツを肌蹴る。
逞しい腹筋と滑らかな肌。
それらを指先で撫で、やがて頬を擦り寄せるようにして凭れかかった私は、リヴァイさんの匂いを深く吸い込む。
穏やかな波の満ち引きの様な音は私の不安を少しでも拭いさってくれるかのようだ。
呼気に合わせて上下する胸元で唯一の心音を聞き、彼の動かぬ手を私の肩へ回させた。
「リヴァイさん・・・私を不安にさせないで・・・・・・」
その眠りは心地の良いものだろうか。
真っ暗で何もない無ではなく、暖かいものに包まれるような甘いものなのだろうか。