第3章 少しだけ好き
*
「はい、おまたせ。」
両手にお皿を持ち、リビングへ戻ってきた。
「どうぞ?口に合わなかったらごめんね。」
「!…美味しそう…!」
「ん、じゃあ食べよっか。お箸?それともフォーク?」
「あ…お箸で。」
「オッケー。」
キッチンからお箸を2膳持ってきて、私の隣に座って一緒に食べる。
「いただきます。」
「召し上がれ?」
「…!」(美味しい!!)
「どう?美味しい?」
「凄く、美味しいです!」
「そ?良かった……ん、うまいわ。」
「…」(なんか…幸せ。泰輝は…一緒にご飯なんて食べてくれなかったもんね……あ…また比べちゃった…。)
私のダメなところだ。黒河さんと元彼を比べてしまう。
♪~
「!…」
「ん、電話?」
「はい…すみません…。」
机の上に置いてあったスマホが振動した。画面を見ると「店長」と書いてあった。
「…」
「…出ないの?」
「あ……すみません……もしもし、お疲れ様です佐野です。」
切れる前に出た。
「あっ!佐野ちゃん!良かった!今日って…出れたりしない…?バイトの子が1人休んじゃってさ…。」
「え……何時からですか?」
「えっと…出来れば今から来てもらえると助かるんだけど…。」