第6章 息も出来ぬまま *
__ それはいきなりだった。
「んっ…ふっ…ぅ…っ!」
今日はエルヴィン団長と兵長は貴族達が集まる食事会と対談に出向いていた。
たった今、食事会・対談が終わり帰って来た途端…
私を見つけると何も言わず、ただグイグイと腕を引かれ部屋に入れば唇を塞がれた。
何も言わない…ただ離さないように強く強く抱き締めてきて…角度を変えて唇を重ねてくる。
何か…あったのだろうか…?
「ン…!んふぅ…むぅ…んんっ!」
息を吸おうとすれば、それすら許さないように深く重ねてきて苦しい。
「っっ…ん…はぁっ…へ…い…んっ!ちょ…んんっ!」
名前を呼んでトントンと兵長の胸板を叩く。
すると激しいキスからちょっと解放された。
「っ…ぷはっ!…はぁ…はぁ…っ…ど…うしたんです…か?」
「…」
「…兵長…?」
目は真っ直ぐに此方を見ているのにまるで一人だけ残されているかのような瞳。
でも振り払うみたいに兵長はまた唇を寄せてきた。
「っ…!まっ…ンっ!」
制止すら聞かない。
乱暴に、でも甘く激しいキスの嵐。
思いをぶつけてくるような口付けに、段々体の力が抜け始める。
言ってくれなきゃ…分からないのに…。
だけど…話さないって事は…言いたくないんだろうな…。
そんなことを考えていれば、息を吸い込む時ちょっと唇が離れその瞬間…
兵長の低い声が耳に届いた。
「…考え事してる余裕があるのか?」
「っ…!?」
色付いた声音にゾクリと身震いする。
「…そんなことっ…」
「…余所事考えてる暇があるならこっちに集中しろ。」
「ちょっ…へいっ…んっ!」