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鬼滅の刃 短編

第1章 貴方の居ない後の世界



夢をみた。

あの日、私は、貴方の最後に立ち会えなかった。

毎日を、無事に帰ってこれるように、
また、元気で会えることを願って、やまなかったと言うのに。

別れは、何時も突然で、でも、平等に来るものだと、わかっては、いるけど。

早すぎる。
残酷すぎる。
苦しすぎる。

貴方が、最期に、どんなことを想い、
誰を想ったかとは、いやしくも、自分であってほしいと、願わずにはいられない。

そんな、性根の醜い私をどうか、許してほしい。

わがままでも、逝かないでと、言わせて下さい。

私に力があれば。
そんなことを、願ってしまう。

貴方が、どんなに立派に最期を迎えたことを、素直に喜べない、私を、どうか、許さないで。

嗚呼、桜の下で笑う貴方が……

涙で、みえない。

杏寿郎さん、寂しいです。

会いたい、逢いたい、

杏寿郎さん、今も、愛しています。

永遠(とわ)(えいえん)に、永久(とわ)(えいきゅう)に、
私の心は貴方の側に、迷惑かも知れないけど、置いてください。
貴方の後を追わない代わりに。
それぐらいは、許してくれますよね?

後の事は、微力ながら、おまかせください。

全て(命が)、終わったら、その時は、
後を追うことをお許しください。

迷惑がら無いで、受け入れてくださいね。

その時は、また、さつまいもの味噌汁を食べて、
貴方の「うまい!」って声を聞かせてください。


「また、来ますね?」


貴方の逝なくなったあの日から、もう、いくとしも過ぎた。
幾人もの友や知り合いを見送った。

自然災害や、大きな戦争も経験して、
それでも、生き残った。

お義父様を見送り、千寿郎くんの結婚や、子供の誕生も見届けた。
まるで、自分が母や、祖母になったような、そんな錯覚のような経験も出来た。

大正、昭和。
2つの時代を生きた。
そろそろ、迎えが欲しいところです。

貴方の命日。
もう、五十回は過ぎたでしょうか?
本当に、まだ、迎えは来ないのかしら?
待ちくたびれた。

「、」

懐かしい、そのこえ。

「遅いですよ?」
「済まない。
あの世での鬼殺が忙しくてな?」
「まあ、あの世でも鬼殺隊が大忙しですか?」
「そうなんだ。聞いてくれるか?」
「はい。いつまでも。」

貴方の手をとり、黄泉路をいく。
でも、貴方となら、何処でも怖くない。
やっと…
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