第57章 絶対君主には成れずとも$ 中巻
頭の隅に過る白藤と朔の姿が重なる。
二人に抱く気持ちは別のものだ。
白藤に向けるものが手離せない愛ならば、朔に向けるこれはただの熱病に近いかもしれない。
言うなれば、一夜の恋。
彼女の肌に触れれば触れるだけ、後戻りが出来なくなる。
吸い付いてくるようなみずみずしい肌の上を核心に迫るように触れていく。
あれほど求めていた彼女が快感から逃げるように腰を揺らす。
しっかりと捕まえるとパレオで隠れている水着のような下着が隙間から覗く。
これが本能と言うものだろうか。
目の前にいる異性にこれ程までに、欲情するのは。