第57章 絶対君主には成れずとも$ 中巻
唐突に思い出したのだ。
白藤との事を。
初めて彼女を抱いてから、次に彼女と交わうまで二週間近く間が空いたものだから……
もう自分に興味が無くなったのだと諦めていたと聞いた時には驚いたものだ。
その時は彼女からも求めてくれ、驚きつつも嬉しい夜伽だった。
今、俺は彼女とは違う女性を抱いている。
自分の意思で。
彼女とは違う。
それでも、朔に惹かれる俺はやはり君を裏切っていることになるのだろうか?
本当はこれが正解では無いのだろう。
でも、離れられない。
華の蜜を求める虫の様に、その匂いと温度に惹かれてどうしようもなくなるのだ。