第57章 絶対君主には成れずとも$ 中巻
冨岡が戸惑うのも無理はない。
男どもも冨岡の上半身を見ていて、打ち手が男というのも分かっていたし、ただ男どもが予想していた姿と冨岡の容姿はかけ離れていた。
てっきり自分たちと同じような屈強な男と思っていたら、目の前の男はこれでもかというくらいに二枚目で。
「何だ?」
「兄貴?」
「………きょ、今日のところはこれくらいで勘弁してやる!///」
男もまた困惑していたのだ。
この胸の高鳴りが何なのか。
「兄貴!ちょっと待って下せぇ!」
「待て」
「……え?」
「場代はちゃんと払ってもらうぞ?」
グッ。
え?何?
顔に似合わず、力強っ!
「………っ!払う!払うから!ほら!……兄貴ぃー!」
こうして男どもは居なくなり、代わりに外に出た冨岡を一目見て女性達が釣られてきた。
女将は好都合とばかりに女性達に吹聴する。
「今日からの新事業だよ。整体、やってかないかい?このイケメンがアンタたちを揉みほぐしてくれるよ!」