第57章 絶対君主には成れずとも$ 中巻
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数十分後。
「あーー、すっきりしたわ。ありがとう、えっと……義勇だっけ?」
「あぁ」
「また、お願いするわ。さぁ、みんな持ち場に戻って。お店始めるわよ!」
「えー、姉さんだけズルい!」
「文句言うなら、私より多く客を取ってみな?」
「えー!」
娼婦たちはそれぞれの部屋へ。
菖蒲の指示に従い、皆がその場からはけていくが……
「義勇様…」
「どうした、朔?」
朔だけがその場に留まった。
「私より……菖蒲さんの方が良いんですか?」
昨日のように女性たちに身仕度を施された朔はそれこそ夜の街に溶け込みそうな格好で俺に問いかけてくる。
「私の…気持ちは…」
「朔、落ち着け。俺は菖蒲に整体をしていただけだ。やましいことはしていない」
「…………本当に?」
「あぁ」
「義勇様、その…お店が終わったら…」
「あぁ、ちゃんと話をしよう」
「はい」