第57章 絶対君主には成れずとも$ 中巻
「すごいですね、本当にイカサマしてないのに勝ち越しです」
百合が声を上げる。
「もう、金貨が無いよー」
「菫、もう諦めな」
「菖蒲姉さーん」
「アンタなかなかだね。どうだい、女将このお兄さん雇ったら?美形だし、賭け札も上手い。文句なしだろ?」
「アンタが世話焼きかい?珍しいね。ま、良いわ。アンタ明日からここで働きな。朔ちゃんは菫の代わりに客引きしとくれ」
なんと。
ひょんなこともあるものだ。
とはいえこれで当分は安心して寝られそうだ。
「でだ。すまんが、アンタら相部屋でいいかね?」
「問題ない、俺たちは異母兄妹だからな」
こうして、二人の新たな生活が始まった。