第55章 スルタン企画 絶対君主には成れずとも$ 上巻
嘘ではない。
いつもは離宮から着替えを用意して仕事を始めるのに今日はうっかり離宮に着替えを忘れ……
そのまま作業していたら、案の定汗でぐちょぐちょになってしまい、仕方なく上の下着を着けずに午後の仕事をこなしていたのだ。
「……まったく、お前は…」
危機感がないのか?
「義勇は、無理やりしたりしないから……」
「ん?」
無理やり?
「白藤、お前、まさか……」
「違う!最後までは、されて……ない、から……」
「いつだ?何故……」
「叙勲祭の後。不死川様付きの従者の方が。怖くて、言えなかったの……」
叙勲祭は一週間前、不死川が武勲を讃えられた時だ。
「そんな……」
俺は一週間も気付いてやれなかったのか?