第45章 里帰り$
一人、外で溜息を着く冨岡に気づくことはなく、そろそろ湯が湧いた頃合だと鱗滝に促され、白藤は衣類を抱え、浴室へと向かう。
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「お言葉に甘えたのは良いけれど、先にお湯を頂いて良かったのかしら?」
パサッ。
着物を脱ぎ、髪を纏(まと)める。
がらがら。
浴室の扉を開けて、浴槽の縁に腰かける。
手桶にお湯を汲み、手先、足先、体と順番に湯をかける。
冨岡さんの様子がおかしかった気がする。
「どうしてしまったのかしら?」
何か気に障る事をしてしまっただろうか?
ちゃぷ。
浴槽に浸かり、ふぅと息を吐く。
少し熱めだが、心地よい温度に白藤の体の力が抜ける。
「気持ちいい……」
湯加減に文句はない。
けれども、昨日までは普通だったのに。
こちらに来てから彼は私と目も合わせてくれない。
自分から師範に会わせたいと言っていたのに……
やっぱり、私では冨岡さんには釣り合わないのだろうか………