第45章 里帰り$
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鍋を抱えようと腕を伸ばした白藤に。
「さて、後片付けしてきますね」
「いや、片付けは俺がする」
すっと立ち上がる冨岡。
「冨岡さんが?」
きょとんと目を見張る白藤。
「師範、前と配置は変えていませんか?」
「あぁ、変えておらん」
「なら、俺が。お前は少し休むと良い」
冨岡にポンと肩を叩かれる。
「はい、それではお願いします」
入れ替わりに台所へ向かう冨岡の背中を見送る。
改めて白藤が鱗滝に向き直る。
「左近次様はお変わりありませんでしたか?」
「あぁ、おかげでこの老いぼれでも育手としてやっていけています」
この老人は昔と同様に私に対しても敬語を使う稀有な存在である。