第28章 激動
ザッ。
刀を構え、炭治郎が立ち上がる。
「小細工したところで、俺には勝てぬ。斬られたとて痛くも痒くもないわ」
空喜が炭治郎目掛けて飛行してくる。
集中しろ。
炭治郎が瞑目する。
子鉄君との地獄の鍛練を思い出せ。
あの人形を壊した時の攻撃を、繰り出せれば……
「何だ、ありゃあ…」
姿勢を低くした炭治郎。
気配の変化に哀絶以外の三体の動きが一瞬止まる。
燃える刃。
赫刀。
呼び起こされ、重なる無惨の記憶。
無惨を追い詰め、その頸を斬りかけた剣士の刀もまた赫刀であった。
ズズ。
炭治郎の額に痣が浮かび上がる。
その姿はと無惨の記憶の中にある剣士の姿に重なる。
「ヒノカミ神楽 日暈の龍 頭舞い」
一瞬にして、炭治郎が哀絶以外の三体の頸を斬り落として見せた。
今のでわかった。
もう、できるぞ。
あと一体だ。
一度に四体斬らないと、あと一体は…
離れた場所で哀絶と対峙していたはずの玄弥に目を移す。