第77章 華ぞ咲く$
「鋼鐵塚さん」
「何だ?」
団子を頬張りながら、胡蝶に返事をする。
この人は女子に興味は無いのだろうか?
「里に恋人は居るのですか?」
「は?」
「ほら、最近は皆さん揃って……」
「俺には別に関係ねぇな。周りはとやかく煩くしてるが……俺は、自分の生き方を曲げてまで相手に合わせて暮らすってのが、性に合わねぇ……だから、今のままでいいんだよ……」
鋼鐵塚の言葉にしのぶは目が覚めたような心地になった。
カナエが居なくなってから、彼女は蝶屋敷の主人として、そして蟲柱としてずっと役割をこなしてきた。
無惨も居なくなり、姉を殺した鬼も倒された今胡蝶の役割は殆ど終わりを告げた。
今も負傷者の治療をしてはいるが、それは別にしのぶでなくても対応できる。
私はしのぶとしての生き方を見つけてもいいということなのだろうか……
でも、今になって……
私に何が残されているのだろう……