第75章 祝福の白は青と交わる$(冨岡裏)
「この女が悪いんだ!薬を飲んでも痛みなんか取れやしない!!まして夜の相手も断りやがる!お高くとまっていいのは柱の二人だけ……」
バキっ!!
「愈史郎さん……」
「カスもいい所だな……殴られただけで済んだのは温情だと思え!!ここは蝶屋敷だ。負傷者の治療が目的であって、女郎屋じゃない!こいつも蟲柱も助けたい命の為に懸命に働いてるんだ!!その心意気を汚す奴はさっさと出ていけ!!」
「何だよ……お前だって、余所者だろ…!!」
「余所者でもお前らより、この蝶屋敷がどれだけ頑張ってるのかを俺は知ってる!!だから、お前の様な性根の腐った奴らのお目付け役として、これからここで働くんだ!!明日から覚悟しておけ!!」
「……助かりました」
「お前、意外と良い奴なんだな……」
「別に。お前らの為じゃない…」
フンと鼻を鳴らす愈史郎にアオイは改めて頭を下げる。
「ありがとうございます、愈史郎さん」
「感謝される覚えは無い」
ぶっきらぼうに振る舞う愈史郎の耳が赤いのをアオイは見逃さなかった。