第75章 祝福の白は青と交わる$(冨岡裏)
「先程はありがとうございました。愈史郎さん」
「なんの事だ?」
「さっき、片腕を欠損した隊士の処置を手伝って下さって」
「ただ、押さえつけただけだろ。手伝いも何も……」
「それでも、助かりました。男の隊士達は私だけでは抑えきれないこともありますから」
アオイは無意識に腕をさする様な仕草をした。
「そういう時、普段どうしてるんだ?」
「え?」
愈史郎の瞳に真実を言えと言われている気がした。
「鎮痛剤と称して睡眠薬を投与するようにしています」
「睡眠薬では時間がかかる。お前、もしかして以前に……」
「お客人に心配させるようなことはありませんので……!」
アオイはその場から逃げ出すように走り、台所へ向かった。
「あの人たち、早く帰ってくれないかしら……」
愈史郎さんの目は私の全てを、何でも見透かしてしまいそうだから……
こんな時、炭治郎さん達が来れば。
賑やかさで、こんな不安を何処かに追いやってしまえるのに……