第76章 違えし縁
壁をぶち破って現れたのは、嘴平。
続いて宇髄が合流し、柱は胡蝶を除いた八人が集結した。
「音のおっさん、アイツが鬼舞辻か!?」
「おっさんじゃねぇ!!……さぁな?この際、どっちでもいいだろ?」
伊之助、宇髄の介入により、鬼殺隊側は一度距離を置く配置に下がった。
「煉獄さん。とりあえず、無惨に吸収される前に珠世さんを救出したいです……」
「珠世さん?それはもしや、無惨の横にいる女性のことか?」
「そうです。その方が禰󠄀豆子の血の変化を調べてくれたんです」
「なるほど。となると、胡蝶の協力者というのは、彼女なのだな!」
煉獄と炭治郎の話を聞き、甘露寺、伊黒も事のあらましを理解した。
とは言うものの、この緊迫状態で、無惨の隙をつくとなると、なかなかに骨が折れそうだ。
煉獄が甘露寺、伊黒に目配せすると二人は何かを察してか、頷いている。
会話もなしに、通じあっている柱達に驚く炭治郎であったが、それと同時に焦燥感が胸を突く。
柱の仲間入りが出来ずとも、自分にも何か。
そう考えて、ますます、気が急いてしまう。