第75章 折れない心
彼女は本当に鬼なのか?
自分とどこが違う?
肌の白さ。肌の温もり。鼓動。
誰でも向き不向きがあるように、彼女にも苦手があった。
互いに違いを見つけて、話して、笑い合えた日々があった。
君が鬼であると忘れてしまうくらいに。
狭霧山ではぐれた時は生きた心地がしなかった。
仲間たちからは散々に言われ、見つけ出した君は記憶を無くしていた。
猗窩座という鬼と閨を共にしたせいで、鬼の子を孕んだ君を。
煉獄邸へ行くと言ったあの言葉も、想いも。
全てがこんなにも胸を突き動かすのに……
こんな時にまで動けない。
情けない。
鬼として人を喰らう君を見て、俺は……
君に刀を向ける覚悟を、決めかねている……