第68章 リクエスト 現パロ 二人の家元$
拒んで離れられたくなかった。
実弥くんのように……
義勇くんに手を離されたら、私は……
その時、か細い糸を手繰ったのは、私自身。
義勇くんのせいには出来ない。
「義勇くん……」
嫌な女だ。
そんな気持ちなんて無いくせに、義勇くんにそれらしい嘘をつく。
「白藤?」
「何?」
「俺はお前を傷付けたくない……」
「…………義勇、くん」
「俺はお前が好きだ……」
「……………」
「返事は今じゃなくていい。でも、俺はお前にしか興味はない……」
私から離れて行こうとする義勇くんの腕を咄嗟に掴んだ。
「私も……義勇くんじゃなきゃ、嫌だよ……」
縋るようにそう言えば義勇くんは私を優しく抱きしめてくれた。