第68章 リクエスト 現パロ 二人の家元$
「蔦子さん、弟とはいえ、男に可愛いはダメですよ?」
「えー?ダメ?義勇……」
上目遣いで姉さんが俺を見つめてくる。
「俺を当て馬にしないでくれ」
全く。
「姉さん、今日の分の華はまだ奥にありますか?」
「今日の分は仏間に移動させてあるわ。おじい様に挨拶してから使いなさいな」
「分かりました」
蔦子姉さんの言うおじい様と呼ぶ人物は、冨岡の家で随一と呼ばれる元柳斎左近次のことだ。
『元柳斎』は左近次を含め日本では五人。
華道、茶道、武道の内で最高の腕を持つものしか名乗れない称号なのである。
(※元柳斎の称号については、オリジナル設定です。実際の人物、団体等に関係ないので凄い人なんだ的に流し読みして下さいませ)