第67章 澱(おり)の中で$
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「白藤さん。今日は食が細いですね…大丈夫ですか?」
粥の膳を下げに来た千寿郎が問う。
「すみません。何か胸焼けがしまして……」
「あ、お味噌汁をお持ちしますね。知り合いの猟師の方から茸を頂きましたから」
「茸?」
「山の茸には滋養がありますから」
それでは、と頭を下げた千寿郎がしばらくして盆に汁椀を乗せて戻ってきた。
「近くの山で採れた"なめこ"のお味噌汁です」
「なめこ……表面がツルツルしていますね」
「採る時に手にぬめりがつくくらい、ぬるぬるしているらしいですよ」
「フーー」
息を吹きかけ、味噌汁を冷ましながら、チビっと一口飲んでみる。
「………美味しいです……」
温かい。
粥以外にも私が飽きぬようにと、うどんや素麺を用意してくれる、千寿郎君に感謝した。