第65章 慟哭$
「………//////」
「何を、紅くなっている?」
見蕩(みと)れていたとは言えない。
否、言いたくない。
だって、この表情は真に私に向けられたものではないから。
槇寿郎様。
いつからだったか、私は貴方に惹かれていたのです。
だから……
「瑠火……」
その名に嫉妬してしまう。
『私を見て』と願ってしまう。
槇寿郎様。
大切な人が出来た貴方には、もう私は必要が無いのかもしれない。
それでも……
貴方に抱かれたい。
演じる為だけでも構わない。
たとえ、私を私として見てくれなくても……