第10章 藤の毒
速い。
本当に蟷螂みたいな奴だ。
何だこの太刀筋は。
逃げ道がねぇ。
ギャリリ。
攻撃を掻い潜り、伊之助が突進していく。
「なぁーははは!こんなのチョロいぜぇ。だって俺刀二本持ってるもんねぇ!」
「はは。いいねぇ、その気概。気に入ったぜ!派手にな!!」
「おい、宇髄それ以上突っ込んで来るんじゃねェ!俺の間合いに入るじゃねェか!!」
「はっ。そりゃ、テメェで上手くヤるんだな」
やべぇな。
本格的に毒が回って来やがった。
「宇髄様、それ以上動いてはなりません!」
藤の毒でなければ、私は中和することが出来ない。
「……」
アイツ、さっきの…
確か、"藤姫"だったなぁ?
何だァ、何処を見てやがる?
奴の視線の先は、白藤か!
「女共が危ねェ、金髪行くぞ。白藤を守れ!」
不死川に呼び掛けられて、善逸が後を追う。
「え?何急に!?」