第60章 谷底の社$
「猗窩座様」
名を呼ばれるだけで、不自然に心拍が上がる。
見つめられるだけで、息が荒くなる。
この娘を抱きたいと、本能が叫んでいる。
次第に白藤の輪郭がぼやけていく。
魅了の効果によるものだ。
目の前にいた白藤が頭の片隅にいた娘の姿に変わっていた。
この娘を俺は知っているハズだ。
名前は……
「猗窩座様」
十六夜だ。
催眠にかかったように、猗窩座の意識は彼女に囚われていく。
彼が普段、寝室代わりに使っている社の境内に白藤を丁寧に抱き上げて運ぶ。
床に直接下ろすのではなく、自分の上で彼女に腰を下ろさせて、服越しに彼女の股に主張し始めた陰茎を擦り付ける。
気付いた彼女が顔を俯ける仕草が堪らなくいじらしい。