第1章 第1話 誘い(いざない)
山姥切「布のことは善処する……とりあえず、俺の本体を返してくれ。それがないと、落ち着かない」
「本体?」
こんのすけ「そちらの刀剣でごさいます、この者達は九十九神ですゆえ」
スッ。
腰に挿していた山姥切の本体を返す。
「本当に山姥を切ったのか?」
何気なく口から出た問いだった。
山姥切「山姥を切ったのは本歌で俺ではない。俺は写しだからな」
「模造品ということか?まぁいい、もとより刀の由縁にはあまり興味はないしな。せれよりも、手合わせだ」
山姥切「何っ⁉️」
「ここは鍛練場なのだろう?」
山姥切「それはそうだが…」
「なら、手合わせだ。お前の力量見せてもらおうか」
こんのすけ「はわぁ」
ぶるぶる震えるこんのすけ。
カン、カンッ。
山姥切「っ……」
本気でいかないとヤられる。山姥切がそう思う程に審神者との手合わせは真に迫っていた。
こんのすけ「お二人共、どうかその辺りで!」
こんのすけが声をあげた。
山姥切「はぁ、はっ…」
この審神者、何者だ⁉️
「……勝負に水を指すなど、次やったらその毛むしってくれるわ」
こんのすけ「ひっ‼️」
@@@
場所を鍛練場から鍛刀の工房へ。
「札を使って刀剣を呼び出す?」
こんのすけ「左様でございます!」
鍛刀妖精に手伝い札を渡す。
「失敗してくれるなよ?」
コクコク
鍛刀妖精が激しく首を振る。
山姥切「鍛刀妖精を脅迫するな」
パアッ。
「よお、大将。俺っち、薬研藤四郎だ」
「短刀…」
薬研「何だ、大将?」
「えっと、薬研。本体を見せてくれ」
薬研「あぁ、構わないぜ」
山姥切「いいのか」
薬研「あぁ、にしても随分熱心だな」
「うん、良い具合だ」
スッ
薬研「た、大将⁉️」
「どうした、短刀は肌身離さず持つものだろう?」