第29章 第29話 記憶
千歳の本丸審神者部屋。
そこには他本丸から来た山姥切国広とこの本丸の主である千歳、山姥切国広極の三人が集まった。
まんば「先に一言アンタに伝えたい。アンタの主は良い主だな。彼女に会えなかったら俺はあの場所で、眠り続けていただろう。あの時、あの場で俺のためにちょーぎに向かって怒ってくれたこと。俺は嬉しかった」
山姥切「俺の主だからな。良い主で良い妻だ」
ぼぼっ。
俺の服の裾を掴んだままの彼女の顔が赤くなる。
千歳「妻?//////」
山姥切「他に誰がいる?」
まんば「妻か。アンタみたいなのが主だったら俺達の本丸も変わってたかもな。俺の本丸はアンタ達と同じで、女の審神者だった。名前は梓。花柄の髪止めが似合う愛らしい笑顔をしてた。俺はそこの初期刀だった」
まんばが静かに語り始めた。
まんば「俺達の本丸は山姥切ちょーぎ、太郎太刀、次郎太刀、日本号、御手杵、加州清光、三日月宗近、和泉守兼定、堀川国広、前田藤四郎、五虎退極、一期一振がいた」
山姥切「……」
まんば「俺達の本丸に山姥切ちょーぎが来た翌日、俺が遠征から帰って来た夕刻に主は自ら俺の本体を使って自害した」
千歳&山姥切「「!?」」
まんば「それから後の事はよく覚えていない。俺は衝撃が強すぎて、約二年本体のまま、眠り続けた」