第11章 歪み【月島蛍】
白鳥沢戦の翌日。
仙台で穂波さんと会って、博物館へ行ったりしたんだけど。
試合の翌日なこともあって、昼食を食べたら睡魔がピークに。
穂波さんが僕に寝るように諭してくるから
じゃあラブホ行きましょうって言ってみたら、少し考えた末に行くって。
行っちゃうんだ、僕何もしないとは言ったし、するつもりは今のところないけど。
って思いながら来たわけだけど。
僕は観たことある映画だったし、遠慮なくベッドで寝かせてもらった。
穂波さんは僕の横で映画を観てたはず、なんだけど。
目が覚めたら僕の方を向いて、すやすやと吐息を立てて寝てる。
ニットの首元からチラチラ見えそうで見えない胸だとか。
…馬鹿じゃないの。
100歩譲ってここが、そうだな……
ここが合宿場のロビーだとか、芝生の上だとか。
そういうとこなら、この破壊力も可愛さも、なんとか、消化できる。
でもここはラブホなわけで。
危機感なさすぎでしょ。
いくら手を出さないって言われたからって。
そんなことを考えながら一度冷静になろうとトイレに立とうとすると、
穂波さんは寝ぼけたまま、行かないでって僕に言う。
それから僕の服の下に手を入れて肌の上を滑らせながら、キスを、せがんでくる。
スカートも捲れて脚を絡めてきて、完全にこれ、間違えてるでしょ。
寝ぼけて、こんななるとか、ほんと…… よく放って置けるな。
はぁ…すきな人にこんな状況で触れられてキスして、
そりゃ高校生の健全な男子だから反応もする。
ベルト緩めて、前開けないとちょっと痛いくらい… 既に反応してるから。
って、ベルトを緩めたところで、あらぬ映像が。
あらぬアイデアが浮かんでしまう。
ベルトで手首を縛ったら、それはそれはエロい、仕上がりになるだろ。
鞄にはいつも入れてるアイマスクもある……
理性を吹っ飛ばすものは何かって。
そんなの、欲に決まってる。
ヒト科ヒト目として生を受けた、一人の生き物としての欲。