第10章 触れる【影山飛雄】
はぁ… 流石に疲れた。
それに床固いから膝がいてー。
乱れた呼吸を整えながら穂波さんからそっと引き抜く。
真っ白い俺の精子とピストンで泡立った穂波さんの愛液。
混ざってたのが溢れてる
やべー
普通にキスしてやればよかった
なんつーか、イライラして腰振っちまったのはだめだったな、多分…
こういう時は、まず、謝ればいいのか?
『…影山くん』
「………」
『キス、してもいい?』
「…いや、ちょっと待って」
『………』
「ごめん」
『…ん』
「…あ、いやちげー、キスのことじゃなくって」
『…?』
「…なんつーかその イライラして そのまま無理やり…」
『無理やり?』
「無理やり」
『ううん、無理やりじゃない』
「…いやむりやりだったろ、乱暴だったろ」
『ううん、あんなに速く激しいのに丁寧でピンポイントで……溺れるかと思った』
「…?」
『気持ちよかったし、嫌じゃない、よ?』
「………」
『…それ、で んと……』
「俺のものになってくれるんすか?」
『…ん、なりたいです』
それからそっと唇に触れる
それだけで身体がじんと熱くなる
キスが深いものになっていく。
「…やっぱ」
『…ん?』
「気持ちいいっす、穂波さんに触れてるの」
『…ふふ、それは何よりです でもね』
「…?」
『もっと、もっともっと触ってほしいから』
「………」
『それからもっともっと触りたいから』
「………」
『んーと、もっともっとしようね』
「は…い?」
どうこたえていいのかわかんなくて、よくわかんねー返事をした。
くすりと穂波さんは笑みをこぼし、
それから俺の頬にそっと触れる
…もっと触りたいし、触ってほしい。
俺も、一緒だな。
なんだろなこれ。
触れてるだけで、身体のチューニングが整ってくみたいだ。
『影山くん』
「はい」
『ぼーっとしてると泥棒に入りますよ』
「?」
よくわかんないことを囁いて、
穂波さんの唇が再び俺に触れる。
ーENDー