• テキストサイズ

Room Number 「OOO」【気象系BL】

第2章 002


音を立てることもなく翔太郎の手に落ちたのは、手の中にスッポリと収まってしまうくらいの、そう…例えるならキャッシュカードやクレジットカードの類いと同じサイズのカードで、表面には作業着の胸にあるのと同じ、鮫島ホテルのロゴが入っている。

そして裏面には、「RoomNumber 0」の文字が印字されている。

「なあ、これってもしかして…?」

健太が何を言おうとしているのか、そもそも茶封筒の中身を知らされていた翔太郎は、「ああ」とだけ返すと、二着あったツナギの一着を健太に差し出した。

「今のうち着替えなよ」と…

「え、ここで…か?」

「大丈夫だって。後ろはスモーク貼ってあるし、外からは見えないからさ。それに…」

翔太郎は、健太の短過ぎるスカートの裾から伸びた足に視線を向けると、ペロリと唇を舐めた。

当然翔太郎の視線に気付かない健太ではない。

受け取ったツナギで膝をパッと隠すと、眼光鋭く翔太郎を睨みつけた。

そして性急な手付きでシートベルトを外し、最大限に倒したシートを伝って後部席へと移動した。

「絶対見んなよ」

一応釘は刺すものの、正直あまり期待はしていない。

何故なら、“絶対”と“大丈夫”程、この世で信用出来ない言葉はないということを、健太はこれまでの経験から嫌という程思い知らされているから…
/ 153ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp