第9章 009
メールの送信先が、翔太郎に最初に送られて来た物と同じことを確認して、成瀬が送信ボタンを押す。
その場にいた全員が、一瞬同時に息を呑んだのが分かった。
そして数秒後、一台のスマホが電子音立てることもなく、テーブルの上でブルッと震えた。
「ねぇ、今のって…、もしかして?」
「どうやらそのようですね」
成瀬は小さく息を吐き出してから、明らかに震えたと分かる程に向きを変え、着信を報せるランプが点滅するスマホを手に取ると、持ち主の許可を得ることなく画面をタップした。
するとそこには、つい数分前に成瀬が打ち込んだメールの文章が浮き上り…
「あっ…」
「えっ…」
翔太郎と健太は同時に声を上げた。
そして成瀬も、
「やはりそうでしたか…」
小さく呟くと、
「貴方だったんですね」
一見冷たくも見える視線を、スマホの持ち主に向けた。