第9章 009

二台の携帯電話を手に、二人は目を皿のうようにして見比べた。

そして、表示されている差出人のアドレスが明らかに違うことを確認してから、二台の携帯電話をテーブルの上に並べて置いた。

「えっと、こっちの…最後に送られきたメールが仮に転送されたモンだったとして、一体誰が？」


「そ、そうだよ。大体、転送だかなんだか知んねぇけど、そんなこと誰も…」

翔太郎も、そして健太も、頭の上に無数の？マークを浮かべて成瀬を見つめた。

「では、試しにここに表示されているアドレス宛てに、メールを送ってみましょうか」

成瀬は唇の端を持ち上げニッコリと微笑むと、

「皆さん、申し訳ないのですが…」

持っている携帯電話を全て、テーブルの上に出すよう促した…と言うよりは、指示した。

翔太郎も健太も、当然のことながら成瀬の指示に従い、依頼人から預かっていたプリペイド式携帯電話とは別に、元々自身が所有していたスマホをポケットから出し、テーブルの上に置いた。

二人が躊躇なくスマホを差し出したのには理由があった。

もしここでスマホを持っていないなどと嘘をつけば、弘行殺しの容疑は勿論のこと、虚偽罪にまで問われ兼ねないと判断したからだ。

当然、二人が下した判断正しかった。