第8章 ❄️️ 入学前の時間
「じゃ、これで終わりだ。」
『はい!』
「助かったよ。」
『よかったです!』
何一つ文句も言わずせっせと働いてくれた彼女に好印象を抱いた相澤は、飲み物でも奢るか と考える。
自販機の前まで連れていき好きなの選べ、と促すと、
彼女は嬉しそうに自販機を眺め始めた。
そこへ。
「よォ!!クレイジーガールじゃねェか!!イレイザー、何やってんだ?」
賑やかな同僚が現れる。
『あ!マイク先生!』
紅茶を選んで取り出したクレイジーガールが振り向く。
(めんどくせぇ)
相澤は手伝いをさせたことを説明する。
「入学前からとんだ災難だったな!!でもよクレイジーガール、こんなでも根は良い奴なんだぜ!!」
マイクがそう言いながらクレイジーガール(※主人公)の頭にぽんぽんと触れる。
「マイク。余計な事は言わなくていい。雪、もう帰っていいぞ。」
にこにこしながら頭を撫でられていた雪ははい!といい、お辞儀をする。
『あいざわ先生、飲み物ありがとうございました!さようなら。』
「ん、また明日。」
「ハッ!相変わらずぶっきらぼうだぜ!!」
「余計なお世話だ。」
2人のやり取りにふふ、と笑い、雪は寮へと戻って行った。
自分をあまり怖がらない生徒は珍しいな、と思いながら相澤も職員室へと戻る。
「あの女子リスナー、実技試験で''アレ''ぶっ壊したヤツだったな。俺ァ気に入ったぜ!!思わずYEAH!って言っちゃったしな!」
隣でベラベラと喋る同僚は無視し、残りの仕事に手をつけ始める。
(まぁ、本当に実力が分かるのはこれからだ。)