第5章 ❄️️ 実技試験
「クソッ、先越された!!」
「いくぞおおおお!」
「あの女子、はやくね!?」
ついに始まった実技試験。
街へ入ってゆくと仮想敵が姿を見せ始める。
白い少女が狙うは接続部の隙間の多いタイプのロボット。
走りながら体の前に手を構え、3つの雪の結晶を形成する。
(まずは機動力を)
ロボットの足の部分と胴体の隙間を目視で確認した直後、結晶の1つを飛ばす。
ギ、ギギ……、ギィィ…
正確に当てられたようだ。動きが鈍くなる。
思ったよりも脆いらしい。
(次は中心近くに。)
2つ目の結晶を胴体にある隙間に飛ばす。
ガガガガッ、ガッ…
(いける!最後は思いっきり硬くして…!)
先に飛ばした2つの結晶からは意識を外し、残った1つにグッと強度を加え、そのままロボットに近づいていく。
そして、ゼロ距離で右手に添えた結晶を2つ目の結晶で開けた穴に
思いっきりねじ込んだ。
ガガガガ、ギッギッ…シュウウウ…
鈍い音をたてたロボットは、そのまま動かなくなってしまった。
「やった!」
成功だ!
(次行かなきゃ)
喜んではいられない。
自分よりもっと手早く1個体を片付けてしまう個性を持つ人も大勢いるだろう。
少女は次の標的へと走り出した。
実技試験は始まったばかりだ。