第14章 ❄️ 知りたい
「っ………負けましたわ。」
屋内対人戦闘訓練第六戦。
核兵器がある1階でタイムアップを迎えた常闇、轟、八百万。
轟は氷を出すのを辞め、常闇はダークシャドウ自身の中へと戻す。
「はぁ…、はぁ……」
全速力で階段を駆け下りてきた轟は膝に手をついて息を調える。
《敵チームの勝利だ!!それではモニタールームへ集合!轟少年は雪少女を救出してくるんだ!》
耳元の小型無線にオールマイトの声が届くと同時に轟は、今し方息を調えたにも関わらずまた走り出す。
(忘れてた!)
(やったー…)
6階で1人、身動きが取れないままの雪は目を瞑り、じ~んと勝利を噛み締める。
これで先生達も少し、ほーんの少しは見直してくれるだろうと安心する。
氷で覆われている手は冷えきって感覚がなくなり、体は小さく震えている。
「雪!!大丈夫か?」
いつの間にか傍に轟が来ていて、体を起こされると温かい熱に包まれる。
『ととととろきき、ああありがとと…』
轟が個性で温めてくれているのだと理解した雪。震えながらも感謝を伝え、手をグーパーさせ始める。
『うう、あったかい…とどろき、ミルクみたい…』
どこがだ?疑問を抱きながらもほっこりと笑顔になる雪を見て、問題ないないようで良かったと安心する轟。
体育座りをしている彼女の前にしゃがみ、立てるか?と両手を差し出す。
雪は差し出された轟の両手を掴み、力を貸して貰いながら何とか立ち上がることができた。
『ありがとう。もう大丈夫みたい!』
そう言うと轟の手を離す。
「そうか。モニタールームに戻ろう。」
2人並び、階段を降りてゆく。
不意に、ミルクと言えば…と轟が口にする。
「昨日のクッキー、美味かった。ありがとな。」
『あ、でしょ?なんもなんも。』
雪は嬉しそうに笑った。
2人が戻るのを待つオールマイトと生徒達はモニターに目が釘付け。
ある者は少し頬を染め、「わあぁ」と、
ある者は「畜生ぅっっ」と声をあげるのだった。