第2章 聞こえたならどうぞ耳を塞いで
黒崎一護クンが藍染隊長を倒した。浅い呼気を吐きながら、やっと終わったのだと安堵する。藍染隊長が崩玉を取り込んでいなければ私が殺していただろうに、と思うのは負け惜しみだ。彼への憎しみなら誰よりもあった。藍染隊長はああ言ったけれど、日番谷クンよりも刃に憎しみを乗せて戦っていたのは私だ。自覚はある。
「無茶をしましたね、市丸隊長」
卯ノ花隊長に優しく叱られる。治療を施してもらいながら、涙が止まらなかった。この百年間に、漸く区切りがついた。あの日からずっと……平子隊長が居なくなったあの日から、ずっと。この日を待っていた。悲しくはない。なのに、どうしてこんなにも、涙が止まらないのだろう。卯ノ花隊長が、そんな私を見て穏やかに微笑む。
「ッ市丸隊長!」
イヅルが私を心配して駆け寄ってきた。どうしてか、彼も泣いている。私がイヅルを庇ったことで傷を負った上に、その状態で藍染隊長に向かっていったことを嘆いていた。大事な副官なのだから、それくらいはさせてくれ。言うと、もっと泣き出してしまう。困っている私を助けてくれるのかと思いきや、日番谷クンと乱菊は私に説教を始めた。もっと自分を大事にしろだの、あんな卍解を隠し持っていたのなんて聞いていないだの、一人で無茶するなだの。何か理不尽な怒りも聞こえたが、二人が私のことを心配してくれているのが伝わって、嬉しくて笑った。馬鹿愛美、あんたが死んじゃうかと思った。そう言って泣く乱菊を抱きしめ、帰ろう、と言う。卯ノ花隊長のお陰で、自分で立って歩けるくらいには回復していた。
「……いいの?あんた、あの金髪の人と知り合いなんでしょ?」