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徒花まみれの心臓 ~ifストーリー~

第4章 黒白の背反二律












市丸を望み通り尸魂界に送り届け、虚圏へ戻る。もう二度とあいつに会うことはないだろう。あいつは、これから、自身に封印した藍染と共に死ぬのだ。


「……クソが」


どうにも胸糞が悪くて、むしゃくしゃして、近くに聳え立っていた塔を殴る。崩れ落ちたそれが砂埃を巻き上げ視界を悪くする。それすらも気に入らなくて、兎に角何かにこの感情をぶつけたかった。脳裏にちらつく市丸の姿。それを消すように、物に当たる。どれだけ破壊しようとも、この感情はちっとも消えやしない。市丸の所為だ。こいつに会ってから、こいつが無駄に俺に構うようになってから、俺は何かがおかしい。


「……んで、」


苦しい。何故あいつは最期まで笑っていられたのだ。何故あいつが藍染の為に共に死ななければならない。何故、俺をめちゃくちゃにしたまま、逝ってしまうのだ。苦しい。悔しい。腹立たしい。


「なんでだよッ!」


何故、俺はこんなにも市丸のことを考えてしまうのだろうか。どうして、あいつを死なせたくなかったと、哀しんでいるのだろうか。


「…わかんねェよ!!!」


「何が?」


突然聞こえてきた声に、ぴたりと動きを止める。今、市丸の声がしなかったか?いや、そんなはずはない。あいつとはついさっき別れたのだ。こんなところにいる訳がない、あいつは死ぬはずで---


「無視しなや、グリムジョー」


恐る恐る後ろを振り向くと、


「やっほ、さっきぶりやね」


「何でいるんだよ!!?」


幻聴でも幻覚でもなく、市丸が呑気に笑ってそこに居た。


「は、何でお前、」


「いやー、私も死ぬ気満々やったんやけどね。確かに神死鎗ん毒、体内に置いたはずなんやけど…多分藍染隊長が何かしたんやと思う」


生きろってことなんかな思うて、死ぬんやめた。ケロリと言い切ったそいつを、とりあえず一発殴る。痛いだの手加減しろだの喚く市丸を、うるさいと一蹴して、込み上げてくる何かの赴くままその身体を抱き締めた。


「……何でここに戻って来やがった、この馬鹿」


「グリムジョー、」


「お前の居場所はあっちだろうが、」


どうして虚圏に戻ってきた。お前は結局藍染に従ったフリをして、でも本当は死神の味方だったくせに。どうして、ここへ戻って来てしまったのだ。


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