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徒花まみれの心臓 ~ifストーリー~

第2章 聞こえたならどうぞ耳を塞いで




せやから、の続きがプツリと途切れる。その続きを聞きたいのに。大人しく待っているが、彼は口ごもっている様子で、続きがなかなか出てこない。痺れを切らし、私が口を開こうとしたその瞬間。平子隊長の呻き声と共に、目を覆っていた手がどこかへ消えていく。瞬いてその声を追うと、彼は瓦礫の中に頭を突っ込んでいた。


「こんっっっのヘタレが!!!」


平子隊長を蹴り飛ばしたのは猿柿元副隊長だった。その蹴りの威力もさることながら、百年経った今でも相変わらずだと苦笑を零す。ウチがしばいてきたるからちょっと待っとれ!物凄い剣幕で私に言って、彼女は平子隊長の元へと駆けて行った。その後ろ姿を見送りながら、ハッと、そこである事に気付く。あの口ぶり、まさか私と平子隊長のやり取りを聞いていた---!?恐る恐る振り向くと、ニヤニヤしながら、或いは呆れながらこちらを見ている野次馬達。恥ずかしさに顔が赤くなる。


「良かったねぇ市丸隊長、ずっと待ってた甲斐があって」


「京楽の言う通り、ずっと待っていたもんなぁ…報われてよかった、本当に良かった!」


京楽隊長と浮竹隊長にニヤニヤ、ニコニコと微笑みかけられる。それをきっかけに堰を切ったように乱菊やイヅルに問い詰められ、仮面の軍勢からは百年間平子隊長がどれだけ女々しく私を思っていたかを聞き、一気に賑わう。


---ああ、幸せやなァ。


猿柿副隊長にボコボコにやられた顔で、もう二度と泣かせないのでずっとそばに居てくださいと土下座を披露してくれた平子隊長を見ながら、百年ぶりに心から笑ったのだった。












聞こえたならどうぞ耳を塞いで



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