第4章 図書室から始まる
数時間前
エルヴィンはこの日も就業時間が終わっても残業を行う。
のではなくミヤビの通う図書室へと向かった。
彼しか知らないであろう図書室の隠し部屋のマジックミラーの小窓からミヤビを覗く。
アルミンが遅れているからか今日のミヤビは少し落ち着かない。時折ドアを気にするミヤビが愛おしい。
余程気になるのだろう、注意が散漫している時にする人差し指を机にトントンと叩く仕草も出ている。
そこまで思われているアルミンに悔しく思ってしまう幼稚な自分に呆れながら様子を眺めるエルヴィン。
突如外で騒がしい音がして警戒するとアルミンが図書室に入ってきた。いつもと違うのは後ろにエレンとミカサがいることだ。
……何故?
その答えは案外すぐ出てエレンが『私』の存在に気付き始めたことを三人に話し始める。
食堂での出来事。あの日はミヤビの食事風景を見ていたのだが最後の最後にエレンが来て思わず音を立ててしまったのだ。
まさかエレンに勘づかれるとは。少々見くびっていたか。エレンなぞ相手にする程でもないと思ったがなんと話の流れでミカサが参加することになってしまった誤算。
…今まで築いてきたミヤビの好意を向かせた努力はどうなる?今まで集めてきたモノは?言い出せばキリがないがきまって障害になるものは先に除く私は今回も仕事をしなければならない。
今回は大波乱になる予感がした。