第5章 火の神様の場所で
マリサイド
肩で息をしながらも、山道を駆け上がる。
さっきまでかかしと歩いていた山道とはまるで気配が違う。
私が昔からしっている道…
でも、でも火の神様の場所にいけば、何か…
そして、かかしといたであろう火の神様の場所にたどりつく。
早朝のすんだ空気につつまれ、そこはまたより神聖に感じた。
かかしと一緒にここにきて…
階段をおりようとしてて…
と夢であったとしても
はっきりと鮮明に言葉も、感情も、感覚も覚えている記憶をたどる。
かかしと離れた階段のとこに…何かある…
「かかしのお面…」
狐のお面がポツンと階段のところに立てかけてあった。
その様子は落としたという感じではなく
置いていったというほうが合っている。
「せっかくかかしがお面はずしてくれたのに…
これじゃお面1枚分どころじゃない。何も感じれないよ…」
短くも濃かったかかしとの出会いに、涙目になった。
「手、放すんじゃなかった…」
後悔だけがいっきにおしよせた。