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【鬼灯の冷徹】あの世の行い気をつけて【トリップ長編】

第2章 三途リバーの流れのように


脱衣婆が此方を見る。あわてて視線を逸らす。ニヤっと笑って彼女は白装束を投げてきた。
「女を剥く趣味はないからね。勝手に着替えて今着てる物渡すんだよ。」
お決まりの三角のアレが白装束の上に鎮座している。あまりのスピード展開についていけずに、ついオタク(雑学好き)的思考に逃げてしまった。
「ひ、左前に着るんですよね?てか私六文銭持ってないし!」
サッパリ妖精が飛び回る中知識だけが口からぼろぼろ零れてくる。脱衣婆は「いいからとっとと脱ぎな。文句があるならはぎ取るよ!」とでも言いたげな目で此方を見てくる。
もう一度辺りを見回してみる。よく見れば川の中で巨大蟹やら蛇が白装束の人々を呑み込んだり水に引きずり込んだりしている。
此処は、地獄。最後の審判に向かう、終わりと始まりの境目。
「・・・・・。」
覚悟を決めて白装束を頭から羽織るようにして体を隠しながら衣服を脱いだ。ついでに靴と靴下も脱いでおいた。自己評価の結果、水の中を歩いて渡るだろうと判断出来た、ってか橋わたれる人とか聖人レベルだよな…
脱衣婆に脱いだばかりの衣服を渡せば、BBAは嫌みったらしい顔で私の体をじろじろ眺めて言った。
「アンタ、下着も脱ぐんだよ。糸屑一本も現世の物は持ち込めないからね。髪留めも置いていくんだよ。」
「あ”ー、白装束ってノーブラノーパンで着るの?!今日日はやらねーよ!!!」
「つべこべ言わずに早くしな。後が詰まってるんだよ。」
深く溜息を吐きながらモゾモゾと最後の砦を脱ぎ去った。さよなら、私の一張羅。
投げつけるように渡した下着を衣類の上に加えて抱えたBBAは静かに橋のない河原を指さした。
「ソコを渡ったら川向こうの枯木の下にいる爺に今着てる服を渡しな。そこから先のことは又爺に聞くんだよ。」
そう言って脱衣婆は次の人の衣服を剥ぐために私から離れていった…

目の前の水面は静かに静かに流れている
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