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【鬼灯の冷徹】あの世の行い気をつけて【トリップ長編】

第6章 初めてのお使い~桃源郷編~


鬼灯様と閻魔大王の食事風景を見ながらお茶を口に運ぶ。
本当は閻魔大王が来た時点で仕事場である三途の川原に行けばいいのだけど、まだまだ土地勘がなくって唐瓜くんの金魚のフン状態な私は静かに鬼灯様に助けを求める視線を送った所「食べ終わるまで待っていて下さい。」との言葉にこうして食事が終わった後も同席させてもらってます。
「そういえば葎華ちゃん、ここでの仕事にはなれたかな?」
実に美味しそうにシーカランス丼を頂く大王様に問いかけられる。すっごく優しくてあったかい笑顔。此方も微笑み返して頷きながら
「はい、皆さんの補助のおかげで何とか。でもまだ此処から自室に戻る時に迷いかけたりするんですけどね。」
「そっか、馴染めた様子でよかったよ。ワシも鬼灯君も忙しくて朝の集会の時以外はなかなか会えないからねぇ。」
何かあったらすぐ言ってね、と付け加えて再び箸を運ぶ大王に感銘を受ける。理想の上司って感じで、すごく安心する。二人を見てると確かに飴と鞭だけど、だからこそ上手く行政が回ってるって事がよく分かる。
そうこう言ってる間に鬼灯様は食事を食べ終わり懐中時計を開いて時間を確認している。つられて食堂の壁に掛けられている時計に目をやれば、もうお昼休みあと5分しかない。
慌てて自分の食器を持って下げようとした瞬間にごく自然な動作で鬼灯様が食べ終えられた食器に私の分も重ねて纏めてから
「そろそろ午後の始業の時間ですね。大王、早く食べて移動しないと今日も残業にしますからね?」
その言葉に大王様は咥えていた骨しっぽを急いで咀嚼する。いざ目の前にすると結構ダイナミックな光景だな、これ。
「ちょ、ちょっと待ってよ。そもそもワシが食べ始めたのは君より遅いんだから、後少しくらい遅れても良いじゃないk…」
「規則ですから。そもそもアレくらいの仕事をさっさと終わらせられない大王が悪いんですよ。」
提案をばっさり切り捨てながら立ち上がり食器を下げに行き、その姿を見て味噌汁を一気飲みしだした大王様は火傷したのか「アチチチチ!」と渋い顔をした後、飲み込むように(いや、言葉通りにしか見えなかった)食事を終えて立ち上がると同時に思い出したように口を開く
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